スギゴケ科(5属30種) <種一覧へ> <マトリックス>
特徴的な姿をしており、スギゴケ科であることは目視ですぐわかります。
見た目では、葉が薄めのタチゴケ類と、葉が厚めのスギゴケ類に分かれます。
ナミガタタチゴケとコスギゴケとヒメスギゴケはかなり身近なコケです。
スギゴケ科の特徴
・立つコケ
・大形のコケが多い
・葉に薄板という特殊な構造を持つ
・蒴は直立~傾く
・帽は有毛で鐘状または無毛で僧帽状
・高山帯に生育する種が多い。どちらかというと北方系の種群でしょうか。
・石灰岩性蘚類はない
・基物は土が多く、岩も少しある
・葉肉部分にトゲ(タチゴケ類)
・無性芽の記述は見当たらず?
・蘚座ではなくて、マット。
・配偶体がほとんどないものがある。(ハミズゴケとヒメハミズゴケ)
構造が複雑で、かなり進化したコケだと思います。
仮根で水分を吸収して、茎や葉に供給しています。ただ、固着するための器官ではありません。
胞子は遠くに飛ばすためのものであり、マット状に群生しているのは、仮根から発芽しているのではないかと推測されます。掘って仮根を精査する必要があります。
属の特徴
①タチゴケ類:葉が薄い系
◆タチゴケ属(5):舷がある。帽は無毛で僧帽状。鋸歯は双生。葉身の葉肉部分にとげが点在。
◆タチゴケモドキ属(3):裏面にも薄板あり。鋸歯は単生。高山帯に分布。帽は無毛で僧帽状??
②ニワスギゴケ類:葉が硬めで巻縮系
◆フウリンゴケ属(1):蒴歯がない。帽は無毛で僧帽状。
◆ニワスギゴケ属(13):蒴歯が32本。蒴が円柱状。帽は有毛で鐘状。乾で巻縮が多い。
③スギゴケ類:葉が硬めで棒状系
◆スギゴケ属(8):蒴歯が64本。蒴が角柱状。帽は有毛で鐘状。乾で棒状が多い。
それぞれの属は、まとまりがあって比較的わかりやすいです。
ニワスギゴケ属とスギゴケ属は、蒴がないと紛らわしいですが、乾の時の姿の違いは現地での識別に役立ちます。
グループ分けは便宜的です。
注意すべき他科
・イクビゴケの葉は、タチゴケ類に似ています。
識別形質
◆薄板の端細胞の形やパピラの有無とても重要な形質です。でも、いろいろな形状のものが混じっていることも多く、なかなか一筋縄ではいきません。
◆薄板の細胞数
傾向として使えると思います。
◆葉縁部・鋸歯
葉縁部が内曲しているものは、確認するのも大変です。コセイタカスギゴケとホウライスギゴケの識別には葉鞘部の鋸歯が重要です。フウリンゴケの葉鞘部上部には長い多細胞毛があります。
◆乾の時の姿
とても重要な形質だと思います。
<マトリックス>
全く未完成です。随時更新していきます。すみません。
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(イメージです。最新はリンク先です。)
似た種の見分け方
◆コスギゴケとヒメスギゴケ
よく似ていて難しいですが、葉を上から見た時の薄板の端細胞の形が違います。コスギゴケは横長の楕円ですが、ヒメスギゴケはほぼ円形です。切片を作らなくてもわかります。逆に切片で横から見る方が難しいかも。
乾の時の縮れ具合も当てになると思います。湿の状態のものを目視で見分けるのは無理だろうと推測しています。
◆ウマスギゴケとオオスギゴケ
非常によく似ています。ウマスギゴケは明るい湿地とかに生え、オオスギゴケは林内に生えるイメージですが、よくわかりません。薄板の端細胞の形が大きく違います。目視だけでは種の断定はできないだろうと感じでいます。
◆チャボスギゴケとシンモエスギゴケ
薄板の端細胞が違いますが、葉形も違います。でもまだ、チャボを認識できていません。
◆ナミガタタチゴケとヒメタチゴケ
ナミガタタチゴケが雌雄同株で、ヒメタチゴケが雌雄異株なので、雄花盤をつけていればヒメタチゴケと断定できます。それ以外は、ナミガタタチゴケの方が若干大きめ(細胞も含めて)というくらいで、明白な違いは見当たりません。小さいナミガタタチゴケも当然ありますので、アマチュア的には雄花盤があって明白なヒメタチゴケ以外はとりあえず全部ナミガタタチゴケにしておけばいいかなと思っています。同様の関係はコツボゴケとツボゴケについてもあります。
個人的な課題
・ヒメタチゴケとナミガタタチゴケの実態
・ムツタチゴケとナミガタチゴケの実態
・ヤクシマタチゴケと小さいヒメタチゴケやナミガタタチゴケは見分けられるのか
・チャボスギゴケの実態
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