2020年11月30日月曜日

分類形質について

安定している形質、不安定な形質

少なくとも同一個体内で、普遍性が高いか低いか。

普遍性が低い形質は不安定な形質であり、分類には使いづらいということになるか


普遍性が高いのではないかと考えられる形質

・巻縮の仕方
現場では乾燥が不十分の可能性があるので、数茎を採集してよく乾燥させるといいと思います。
・葉縁部は乾燥する時、内曲するのか、外曲するのか

湿っている時
・葉縁部は内曲するのか、外曲するのか、平坦なのか

折れやすさ、取れやすさ
折れたり、取れたりすることにより、栄養繁殖を図っていると考えられる。
葉先が折れる性質
イワイトゴケ、カタネカモジゴケ、
葉が落ちやすい性質
ユミゴケ、マツバゴケ、
茎先が取れやすい、折れやすい性質
フデゴケ、ヤマトフデゴケ、ツリバリゴケモドキ、




芽出しの芽の様子

蒴柄のパピラ
あるなしが顕著な場合は普遍性が高いが、不明瞭な場合は使いづらい
葉身細胞のパピラも同様

葉の断面構造
ステライドの有無、多層性

茎の断面構造
中心束、表皮細胞

蒴の出現時期
蒴を伸ばし始める時期




普遍性が低い
・細胞の大きさ、形→不安定なことが多い
・中肋の長さ→不安定なことが多い

長さよりも幅の方が変異が少ないか
細胞よりも細胞壁の方が変異が少ないか

厚壁なのか薄壁なのか
厚角なのか
くびれはあるのかないのか

2020年11月29日日曜日

コツクシサワゴケ

コツクシサワゴケ Philonotis thwaitesii (タマゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2010静岡208

側溝の側面に群生していました。
検鏡したら、無性芽がたくさんありました。
乾の状態のコツクシサワゴケはこちらです。

写真1:生育状況

写真2:薄黄緑色がコツクシサワゴケです。

写真3:ハマキゴケが混生しています。

写真4:チュウゴクネジクチゴケが見えます。

写真5:真ん中のはチュウゴクネジクチゴケだと思います。

写真6:茎は10mmほどです。

写真7:葉は整然と並んでいるようには見えません。

写真8:無性芽

写真9:無性芽

写真10:無性芽の基部の細胞は異質でした。

写真11:葉縁はよく反曲しています。

写真12:葉身下部。褐色で縦長の細胞がありました。

写真13:葉身下部の細胞

写真14:葉身上部の細胞。上端にパピラがあります。


コツクシサワゴケ

コツクシサワゴケ Philonotis thwaitesii (タマゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2010静岡82

サワゴケの仲間で、カマサワゴケの次に多いのがコツクシサワゴケですかね。
乾の状態では薄黄緑色の棒ですね。コンクリート壁や石垣など人工的な場所で比較的見るように思います。
オオサワゴケやカマサワゴケは葉縁が平坦です。
湿の状態のコツクシサワゴケはこちらです。

写真1:生育状況

写真2:乾の状態です。

写真3:色が独特です。

写真4:枝先が太くなる様子は特徴的かも。

写真5:カマサワゴケの規則正しい葉序とは異なりますね。

写真6:無性芽

写真7:葉は1.1mmほどでした。

写真8:葉

写真9:葉

写真10:葉

写真11:葉身下部

写真12:葉身下部の細胞

写真13:葉身中部の細胞

写真14:葉身上部

写真15:葉身上部の細胞

写真16:中肋と葉縁部

写真17:葉先


ヒメコクサゴケ

ヒメコクサゴケ Isothecium subdiversiforme (トラノオゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2010静岡A

中肋が多様なのは、コクサゴケと同様です。

写真1:林内の岩に群生していました。

写真2:生育状況

写真3:葉は斜開しています。

写真4:全形・鞭枝が目立ちます。

写真5:茎葉と枝葉

写真6:葉は2mmほどでした。

写真7:中肋は上方で少し枝分かれしています。

写真8:中肋は中ほどで枝分かれしています。

写真9:中肋は2叉しています。

写真10:葉身下部

写真11:葉身下部

写真12:葉身中部の細胞。30×3.5μmほどでした。

写真13:葉身中部の細胞。42×5μmほどでした。細胞壁はやや厚めでした。

写真14:葉縁部

写真15:葉身上部

写真16:葉身上部

写真17:葉先


オカムラゴケ

オカムラゴケ Okamuraea hakoniensis (ウスグロゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2010静岡408

見慣れない変なコケがあると思って喜んで採集しましたら、オカムラゴケでした。
オカムラゴケは変異が大きくて、よく惑わされます。

写真1:石垣に生えていました。

写真2:短枝がたくさんあります。

写真3:短枝をたくさんつけた様子

写真4:全形。枝の下部が淡褐色を帯びることはよい特徴だと思います。

写真5:鞭枝があります。

写真6:葉は2mmほどです。

写真7:葉

写真8:葉

写真9:葉

写真10:葉身下部

写真11:葉身下部

写真12:葉身下部の葉縁部

写真13:葉身中部

写真14:葉身中部の細胞。24×5μmほどでした。

写真15:葉身中部の細胞。28×5μmほどでした。

写真16:葉身上部

写真17:葉身上部の細胞