2020年3月29日日曜日

シゲリクラマゴケモドキ

シゲリクラマゴケモドキ (クラマゴケモドキ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2003東京93

奥多摩で見ました。
背片の先は全縁のことも、1~複数の歯牙があることもあるようです。
腹片内側(腹縁)は延下したり、しなかったりしていました。平凡社の検索表では延下するグループです。
背片の先が尖っていると、ヒメクラマゴケモドキに似てきますが、シゲリはキールがなく、腹片や腹葉が幅広くてよく目立ちます。ヒメクラマゴケモドキは弓なりのキールがあります。腹片は細めで、長さは幅の3倍くらいです。シゲリは長さが幅の2倍くらいです。
オオクラマゴケモドキも似ていますが、こちらも腹片は細めで、長さは幅の3倍くらいあります。オオクラマゴケモドキは普通背片の先に鋸歯が出ることはないと思います。
シゲリクラマゴケモドキは3兄弟で、ほかにアカクラマゴケモドキとサンカククラマゴケモドキという変種があるそうです。アカクラマゴケモドキは四国の剣山に分布して、背片が幅広いもの、サンカククラマゴケモドキは本州中部と九州に分布して、腹片の先端部に鋸歯があるものらしいです。

 写真1:結構大きめです。

写真2:枝は少し多め。 

 写真3:

 写真4:全形

 写真5:腹面。この個体は背片の先に数個の歯牙がありますが、全縁のこともあります。歯牙が1つだけだと、ヒメクラマゴケモドキに似てきます。

 写真6:腹片がとても大きく、よく重なっています。

 写真7:腹面腹面。腹片が幅広く、きれいに並んでいます。腹片が浮き気味に見える点もポイントのようです。

 写真8:腹面。腹片や腹葉はほぼ全縁です。腹片の先に鋸歯があると、別の変種のサンカククラマゴケモドキになるようです。

 写真9:腹葉を外して、腹片の腹縁の延下を見たところ。あまり延下していません。

写真10:これは結構延下しています。延下の程度は結構微妙です。平凡社の検索表ですと、シゲリクラマゴケモドキはよく延下することになっています。


マルバツヤゴケ

マルバツヤゴケ Entodon concinnus ssp.caliginosus (ツヤゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2003三重309 石灰岩

カルストの乾いた石灰岩上に多数群生しており、稀ではありませんでした。大形のコケで、とても目立っていました。蒴は見られませんでした。
平凡社の図鑑では、タチハイゴケに似ていると書いてあります。タチハイゴケは茎が赤くなりますが、マルバツヤゴケは緑です。平凡社の図鑑の写真とはあまり似てませんでした。
中肋はほとんどなく、翼部には方形細胞が多数あり、ツヤゴケ属らしさがあります。
翼部が多細胞層で暗くなっているのは、ほかのツヤゴケ属では見られない、この種の大きな特徴です。
枝の多い感じはエダツヤゴケにも多少似ていますが、マルバツヤゴケの方が枝が太い感じがします。なお、平凡社の図鑑の写真では枝は少なめです。

写真1:大形の苔です。 

写真2:ごつい感じです。 

 写真3:枝に隙間があります。

 写真4:つやがあります。

 写真5:全形

 写真6:枝

 写真7:枝

 写真8:葉

 写真9:葉

 写真10:葉

 写真11:葉

 写真12:葉身下部

 写真13:葉身下部

 写真14:葉身中部

 写真15:葉身中部の細胞

 写真16:葉身中部の細胞。65×6μmほどでした。

 写真17:葉身上部

 写真18:葉身上部

写真19:葉先。細胞壁が厚めで、ちょっと特徴的?


カラフトツヤゴケ

カラフトツヤゴケ Entodon scabridens (ツヤゴケ科) <種一覧へ> <マトリックス> 2003三重360

石灰岩地帯の樹幹にたくさん生えていました。
蒴はヒロハツヤゴケに似て、やや太めでした。
周辺には、マルバツヤゴケ、エダツヤゴケ、サクラジマツヤゴケなどがありましたが、ホソミツヤゴケとヒロハツヤゴケは見当たりませんでした。
ヒロハツヤゴケも樹幹に生えますが、葉先は鈍頭~微凸端です。カラフトツヤゴケの葉先は鋭頭で、比較的長く尖ります。

 写真1:樹幹に群生していました。

写真2:葉はつやつやしています。 

 写真3:蒴をよく着けていました。

 写真4:全形。葉を丸くつけます。

 写真5:枝の様子

 写真6:蒴

 写真7:雌苞葉

 写真8:葉

 写真9:葉

 写真10:葉

 写真11:葉身下部

 写真12:葉身下部

 写真13:葉身下部

 写真14:葉身下部の葉縁部

 写真15:葉身下部の葉縁部

 写真16:葉身中部

 写真17:葉身中部の細胞。65×8μmほどでした。

 写真18:葉身上部

 写真19:葉身上部の細胞

 写真20:葉先

写真21:葉先


アツバチョウチンゴケ

アツバチョウチンゴケ Plagiomnium succulentum (チョウチンゴケ科) ③ツルチョウチンゴケ類 <種一覧へ> <マトリックス> 2003三重317

オオバチョウチンゴケとは葉の大きさが違いますね。特に葉の幅が広いですね。
検鏡結果はこちらにもあります。

写真1:オオバチョウチンゴケよりも這う茎が目立たないですかね。 

写真2:独特の色合いがありますかね。 

 写真3:葉の長さは10mmくらいあります。

 写真4:葉身中部の細胞

 写真5:葉身中部の細胞(100倍)

 写真6:葉身中部の細胞(400倍)。120×55μmくらいあります。

 写真7:葉縁部

 写真8:鋸歯の部分の細胞が小さいです。

 写真9:葉身上部

 写真10:舷が不明瞭です。

写真11:中肋は葉先の直下まできています。