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2020年12月7日月曜日

蘚苔類用語あれこれ

彙状(いじょう) これは普通読めませんね。
葉の下部は茎を抱いて、上部は開出する感じのようです。




気孔(きこう)
表生(ひょうせい)
沈生(ちんせい)

蒴の細胞壁はだいたいは多細胞層のようです。
その一番外側の層に気孔があるのが表生みたいです。
沈生は内側の層にあるタイプで、それよりも外側は細胞がなくて穴が空いています。
いずれにしても空気を取り込む穴なので、表や裏に細胞があったら意味がありません。

気孔がある種群
タチヒダゴケ科、ハリガネゴケ科・・・




2020年11月30日月曜日

分類形質について

安定している形質、不安定な形質

少なくとも同一個体内で、普遍性が高いか低いか。

普遍性が低い形質は不安定な形質であり、分類には使いづらいということになるか


普遍性が高いのではないかと考えられる形質

・巻縮の仕方
現場では乾燥が不十分の可能性があるので、数茎を採集してよく乾燥させるといいと思います。
・葉縁部は乾燥する時、内曲するのか、外曲するのか

湿っている時
・葉縁部は内曲するのか、外曲するのか、平坦なのか

折れやすさ、取れやすさ
折れたり、取れたりすることにより、栄養繁殖を図っていると考えられる。
葉先が折れる性質
イワイトゴケ、カタネカモジゴケ、
葉が落ちやすい性質
ユミゴケ、マツバゴケ、
茎先が取れやすい、折れやすい性質
フデゴケ、ヤマトフデゴケ、ツリバリゴケモドキ、




芽出しの芽の様子

蒴柄のパピラ
あるなしが顕著な場合は普遍性が高いが、不明瞭な場合は使いづらい
葉身細胞のパピラも同様

葉の断面構造
ステライドの有無、多層性

茎の断面構造
中心束、表皮細胞

蒴の出現時期
蒴を伸ばし始める時期




普遍性が低い
・細胞の大きさ、形→不安定なことが多い
・中肋の長さ→不安定なことが多い

長さよりも幅の方が変異が少ないか
細胞よりも細胞壁の方が変異が少ないか

厚壁なのか薄壁なのか
厚角なのか
くびれはあるのかないのか

2020年5月31日日曜日

休耕田のコケ

休耕田のコケ(明るい湿地のコケ)

まるで未完成です。ご注意ください。

・オオアオシノブゴケ(シノブゴケ科)
・フロウソウ(コウヤノマンネングサ科)
・ケヒツジゴケ(アオギヌゴケ科)
・ササオカゴケ(ヤナギゴケ科)

2020年4月11日土曜日

ヤバネゴケ科

ヤバネゴケ科 9属22種 <種一覧へ> <マトリックス>



ヤバネゴケ科の特徴


・瓦状


所属する属


◆ヤバネゴケ属
◆シロヤバネゴケ属
◆フクロヤバネゴケ属
◆ツツバナゴケ属
◆ウキヤバネゴケ属
◆イイシバヤバネゴケ属
◆エゾヒメヤバネゴケ属
◆クチキゴケ属
◆シフネルゴケ属




<マトリックス>


マトリックスはコヤバネゴケ科といっしょに作成しました。










ムチゴケ科

ムチゴケ科 5属26種 <種一覧へ> <マトリックス>



ムチゴケ科の特徴


・倒瓦状
・腹片なし
・腹葉あり
・鞭枝



所属する属


◆スギバゴケ属(6)
◆コスギバゴケ属(3)
◆テララゴケ属(1):西表島のみ
◆ムチゴケ属(15)
◆ミジンコゴケ属(1):鹿児島~琉球






<マトリックス>










2020年4月4日土曜日

アオギヌゴケ科

アオギヌゴケ科   <種一覧へ> <マトリックス>



アオギヌゴケ科の特徴

・這って分枝する苔
・中肋は1本
・葉身細胞は普通細長い
・樹状分枝するものがある
・蒴つきは比較的よい


注意すべき他科


オカムラゴケ
ヤナギゴケ科
ヒメコクサゴケ類

比較的独立性は高いか



所属する属


◆アツブサゴケ属(1)
◆アツブサゴケモドキ属(1)
◆ネズミノオゴケ属(1)
◆ヒゲシバ属(2)
◆アオギヌゴケ属()
◆ヤノネゴケ属(6):蒴柄にパピラあり。
◆ツルハシゴケ属(8)
◆キブリナギゴケ属(1):樹状分枝。大形。
◆カヤゴケ属(8):蒴柄は平滑。
◆ツノブエゴケ属(1)

 グループ区分


ネズミノオゴケとアツブサゴケ類はやや異質か
とりあえず除外

グループの大別(基本分類)
蒴の蓋の先が尖る・・・・アオギヌゴケ属以外
蒴の蓋の先が尖らない・・アオギヌゴケ属

便宜的区分(できるだけ蒴に頼らない識別)
中肋の先端や裏面の細胞上端に突起がある・・・ヤノネゴケ類
 ヤノネゴケ属
 ツルハシゴケ属
 キブリナギゴケ属
 ツノブエゴケ属
中肋の先端や裏面の細胞上端に突起がない・・・アオギヌゴケ類
 カヤゴケ属
 アオギヌゴケ属
 
ヤノネゴケ類の特徴
蒴柄全体にパピラのあるものが大多数
細胞の長さが50μm以下のものが大多数
葉の先が鋭尖頭や毛尖にならないものが大多数
湿性のものがやや多いかも

アオギヌゴケ類の特徴
蒴柄は平滑のものが大多数
細胞の長さが50μm以上になるものが結構多い
葉の先が鋭尖頭や毛尖になるものが多い
中性のものが多いかも




識別ポイント







<マトリックス>


全く未完成です。随時更新していきます。すみません。
マトリックスは、ほかの科も含めて全部エクセルで作成しています。大したものではありませんが、ダウンロード、加工、転載、オールフリーです。グーグルドライブで公開しています(こちら)ので、もしよかったら御自由にお使いください。
エクセルのフィルター機能が便利です。消去法で種を絞れます。

(イメージです。最新はリンク先です。)






似た種の見分け方

記述にぴったり合うということは難しいかもしれません。
どの形質を重視するか、



2020年3月13日金曜日

分布拡大とコロニーの形成について

蘚苔類におけるコロニーの形成

仮根からの発芽

(仮説1)
ハマキゴケなどのようにマットを形成する立ち苔は、仮根から発芽することにより、コロニーを形成しているのではないか。

(胞子や無性芽は飛び道具説)
分布拡大のためには飛び道具は不可欠。

よく胞子を形成するギボウシゴケ科でも、マットを形成するわけではない。

コホウオウゴケは仮根に無性芽をつけることが知られている(平凡社20ページ)。
しかし、特別な無性芽を形成しなくても、仮根から発芽することは可能である。

立つコケでも、体の断片化や仮根からの発芽などにより、分布の拡大が



蘚座の形成
寿命
蘚座は逆に仮根からの発芽がほとんどない。根元付近からの分けつのみか?


樹幹の苔、枝先の苔は、胞子による分布拡大が重要か?



2020年3月8日日曜日

クラマゴケモドキ科

クラマゴケモドキ科(2属19種) <種一覧へ> <マトリックス>



クラマゴケモドキ科の特徴


倒瓦状
腹片あり
無性芽はない
比較的大形
腹片や腹葉は舌形


属の特徴


◆チヂミカヤゴケ属(1):樹幹に着生し、樹幹に密着する。葉縁部は波打つ。
◆クラマゴケモドキ属(18):大形。


注意すべき他科


・チヂミカヤゴケとクビレケビラゴケが少し似ている。
・シダレゴヘイゴケがクラマゴケモドキ属に少し似ている。


識別形質


◆背片の先の内曲。 → 湿の状態でも、内曲したままか。ニスビキなど5種。
◆(重要)腹片の腹縁基部が延下するか。腹葉を外さないと見えない。 → 結構微妙。部位によって変異あり。
◆(重要)キールがあるか。 → 結構微妙。部位によって変異あり。
◆分枝の仕方、分枝の密度。 → カハルクラマゴケモドキはほとんど分枝しない。
◆背片先端の尖り具合。 → ヒメクラマゴケモドキも顕著でないこともある。
◆背片の長さと幅の比。
◆腹片の長さと幅の比。 → ヒメクラマゴケモドキやオオクラマゴケモドキは1:3くらい。シゲリクラマゴケモドキは腹片や腹葉がとても大きくて目立つ。
◆鋸歯の出方は、変異が大きい。 → ヤマトとトサは腹片の鋸歯に注目か? オオクラマゴケモドキはほぼ全縁。クラマゴケモドキは鋸歯が長毛で目立つ。
◆全体の大きさ。 → ヤマトクラマゴケモドキは小さめ?







<マトリックス>


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(イメージです。最新はリンク先です。)



古木先生の論文(蘚苔類研究)
「四国から記載されているヤワラクラマゴケモドキPorella tenera M.Haraの分類学的地位」
(以下、ネットより)
ヤワラクラマゴケモドキPorella tenera M. HaraはHara(1956)によって,高知県と愛媛県から採集された標本を基に新種として記載された.本種についての報告はこれ以外にはなく,四国北部に固有とされている.本種の特徴は葉の重なりが少なく,葉の背片や腹片,腹葉の先端が円頭で,腹片の腹縁基部と腹葉の基部が長く流下することである(Hara 1956).今回,その原記載の基となった基準標本4点を調べ,近縁種との比較を行った.その結果,本種の特徴とされる上述の特徴はトサクラマゴケモドキPorella acutifolia(Lehm. et Lindenb.) Trevis. subsp. tosana(Steph.) S.Hatt.の変異の中に含まれることが分かった.従って,本種をトサクラマゴケモドキの同種異名として扱った.





蘚苔類のマトリックス

マトリックスあれこれ <蘚類一覧へ> <苔類一覧へ>

ミズゴケ科 <科> <種>
(クロゴケ科~ヨツバゴケ科)
キセルゴケ科 <科> <種>
スギゴケ科 <科> <種>
ホウオウゴケ科 <科> <種>
(ツチゴケ科~キヌシッポゴケ科)
シッポゴケ科 <科> <種>
(シラガゴケ科、カタシロゴケ科)
センボンゴケ科 <科> <種>
(ヤリカツギ科)
ギボウシゴケ科 <科> <種>
(ヒナノハイゴケ科~カゲロウゴケ科~ヒカリゴケ科)
ハリガネゴケ科などヒョウタンゴケ科ハリガネゴケ科タマゴケ科
チョウチンゴケ科 <科> <種>
(ヒモゴケ科~クサスギゴケ科)
◆タチヒダゴケ科 <科> <種>
イヌマゴケ目(イタチゴケ科、ハイヒモゴケ科、ヒラゴケ科以外)
イタチゴケ科 <科> <種>
◆ハイヒモゴケ科 <科> <種>
ヒラゴケ科 <科> <種>
(アブラゴケ目)
ウスグロゴケ科など(ヒゲゴケ科、コゴメゴケ科、ウスグロゴケ科、シノブゴケ科のノミハニワゴケなど)
イワイトゴケ類(シノブゴケ科のイワイトゴケ類)
シノブゴケ類(シノブゴケ科のシノブゴケ類)
◆ヤナギゴケ科 <科> <種>
◆アオギヌゴケ科 <科> <種>
ツヤゴケ科 <科> <種>
イチイゴケ類サナダゴケ科、ハイゴケ科のイチイゴケ類)
◆ナワゴケ科 <科> <種>
◆ナガハシゴケ科 <科> <種>
ハイゴケ類(ハイゴケ科のハイゴケ類、キヌゴケ類、クシノハゴケ類)
イワダレゴケ科などイワダレゴケ科、ハイゴケ科のラッコゴケ類)

(キリシマゴケ科~ムクムクゴケ科)
◆ムチゴケ科
◆ツキヌコギケ科
ヤバネゴケ科など(ヤバネゴケ科、コヤバネゴケ科)
(タカサゴソコマメゴケ科~カサナリゴケ科)
◆ツボミゴケ科
(ミゾゴケ科)
◆ヒシャクゴケ科
◆ウロコゴケ科
◆ハネゴケ科
(チチブイチョウゴケ科~ミズゴケモドキ科)
◆ケビラゴケ科
(テガタゴケ科~サワラゴケ科)
クラマゴケモドキ科 <科> <種>
◆ヤスデゴケ科など(ヤスデゴケ科とヒメウルシゴケ科)
◆クサリゴケ科
(コマチゴケ目)
◆フタマタゴケ目
(ダンゴゴケ目)
◆ゼニゴケ目
◆ツノゴケ目



全く未完成です。随時更新していきます。すみません。
マトリックスは、ほかの科も含めて全部エクセルで作成しています。大したものではありませんが、ダウンロード、加工、転載、オールフリーです。グーグルドライブで公開しています(こちら)ので、もしよかったら御自由にお使いください。
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2020年2月26日水曜日

イタチゴケ科

イタチゴケ科(3属13種) <種一覧へ> <マトリックス>


難解ですね。
データが不足しています。
秋山先生の論文を参考にするしかありません。
中心束、前蒴歯、胞子あたりが重要みたいです。


科の特徴


おもに樹幹に生える。
中肋がない。(例外:リスゴケ)
翼細胞が発達


識別点


・中心束:どこまで使えるのか。キイタチゴケはあるのか、ないのか、記述がおかしい。
・蒴柄の長さ:蒴柄の短いタイプはおもに北海道に分布。
・蒴柄のねじれ方やパピラの有無:左巻きでパピラ密生ならイボヤマトイタチゴケ。
・無性芽をもつのはキタイタチゴケだけ。
・葉の形、大きさ、先端の様子
・細胞壁の厚さ
・翼細胞
・前蒴歯が1層なのか2~3層なのか
・前蒴歯上部の細胞が長い矩形なのか、短い矩形なのか
・胞子の大きさやそろい具合

アマチュアの域を超えてます。
葉身細胞の形や大きさは、識別の材料にならないみたいです。

所属する属


◆イタチゴケ属(11):中肋なし。
◆シワナシチビイタチゴケ属(1):中肋なし。葉にしわなし。香春岳で標本1枚だけ。
◆リスゴケ属(1):中肋あり。


注意すべき他科


中肋があると、似たのがほかにも出てきます。
・イトヒバゴケ科のスズゴケ属
・ウスグロゴケ科のキツネゴケなど
・ウスグロゴケ科のオカムラゴケ
・アオギヌゴケ科のアツブサゴケなど。アツブサゴケモドキがリスゴケに似ているかも。

秋山先生の論文では、スズゴケ属もイタチゴケ科にしています。
野口図鑑と群馬県のリストにリスゴケモドキが出ていますが、秋山先生の論文によれば、キイタチゴケの異名扱いになったようです。
野口図鑑に出ているオオヤマトイタチゴケも、タイプ標本が1点採取されているだけの、訳のわからない種みたいです。



<マトリックス>


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全く自信はありません。
雰囲気はかなり違います。



2020年1月29日水曜日

センボンゴケ科

センボンゴケ科(25属80種) <種一覧へ> <マトリックス>


小形で種数が多く、とても難しい種群です。
約半数が石灰岩性蘚類で、石灰岩性蘚類の約3分の1を占めます。


センボンゴケ科の特徴


・立つコケ
・蒴は直立していることが多い。
・細胞は小さめ。
石灰岩性蘚類が多い。
・葉は披針形や舌形が多い。
・基物は岩か土がほとんど。樹幹、腐木、根際などに生えるものはほんの少し。(サジバオウゴンゴケ、コモチネジレゴケ・・)


グループ分け


とりあえずのグループ分けです。今後間違いなく変動します。

①ハマキゴケなど(葉が幅広い、円頭、葉縁が内曲するなど)
◆ロカイゴケ属(2):葉の表面に毛みたいのを密生。長野のみ。
◆ナガバヒョウタンゴケ属(1):人家周辺。パピラなし。倒卵形。
◆エゾネジレゴケ属(3):石灰1。C字形のパピラ。高山帯。
◆ハマキゴケ属(3):蒴歯なし。乾で葉縁内曲。
◆オウゴンゴケ属(2):葉先近くの葉縁に粗い鋸歯。さじ形~舌形。
◆クロコゴケ属(1):石灰1。蒴歯なし。微小。舌形で円頭。透明細胞群が葉縁でせり上がる。
◆ホンモンジゴケ属(2):舌形~倒卵形。
◆センボンウリゴケ属(1):石灰1。乾で葉縁内曲。舌形。葉の上部に明瞭な鋸歯。
◆ネジレゴケ属(5):石灰1
◆コゴケモドキ属(1):葉身基部に逆U字形の境界線。へら形。

特徴的な種やなじみ深い種が含まれています。消去法でまず理解したい種群です。

②ネジクチゴケなど(黄緑色で鈍頭イメージ)
◆メンボウゴケ属(3):蒴歯と口環なし。複数のパピラ。
ネジクチゴケ属(9)石灰5。蒴歯32本。


③フタゴゴケなど(葉が披針形、石灰系その1)
アカハマキゴケ属(7)石灰6。C字形のパピラ。
フタゴゴケ属(15)石灰10
◆ダンダンゴケ属(1):石灰1。葉身基部の肩の部分に鋸歯。
◆ハナシゴケ属(5):石灰5。蒴歯なし。

センボンゴケ科の総本山。ほぼ石灰岩性蘚類です。馴染みのないものがほとんどです。

④ニセイシバイゴケなど(葉が披針形、石灰系その2)
◆ハリイシバイゴケ属(2):石灰2
◆ツツクチヒゲゴケ属(1):
◆センボンゴケ属(2):
◆アナシッポゴケモドキ属(1):透明細胞群が葉縁でせり上がる。線状披針形。乾で強く巻縮。大形。
◆ヨリイトゴケ属(3):石灰2。透明細胞群が葉縁でせり上がる。
◆クチヒゲゴケ属(3):石灰1。明瞭な中心束。
◆ニセイシバイゴケ属(1):石灰1。線状披針形。蒴歯と口環なし。

総本山を攻める前に攻略したい種群です。

⑤コゴケなど(閉鎖果や葉縁内曲)
◆ツチノウエノハリゴケ属(1):水田の畔。蒴は球形で閉鎖果。微小
コゴケ属(9)石灰1。湿の時も葉縁内曲。

比較的まとまりある種群です。馴染みがあります。



ネジクチゴケ属、アカハマキゴケ属、フタゴゴケ属、ハナシゴケ属の4属は、石灰岩性蘚類の総本山みたいな感じです。
エゾネジレゴケはネジレゴケ属で、エゾネジレゴケ属ではないというイマイチ状態。



識別ポイント


・湿の時の葉縁は平坦か、内曲か、外曲か。重要なポイントみたいです。
・乾の時の縮れ方、葉縁は内曲か、外曲か。個人的にこだわっています。
・蒴歯:蒴自体がないことが多くて困りますね。



<マトリックス>


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蘚苔類の基物あれこれ

蘚苔類の基物について

基物とは

基物は蘚苔類と地衣類でよく聞く言葉です。維管束の専門家に基物と言っても、何それって言われるかもしれません。

親密性

専門集中タイプとマルチ対応タイプがあります。
樹幹のコケは比較的専門集中タイプが多いように思います。
いろいろな基物で見られる適応力のすごいコケNo.1はヒロハツヤゴケでしょうか。
それともギンゴケでしょうか。ホソウリゴケも意外といろいろな基物で見ます。


基物あれこれ

基本の5基物

細かく見ると、乾いた岩、湿った岩、日当たりのよい岩、日陰の岩など、いろいろあります。石灰岩など特殊成分の岩もあります。岩の表面に水が滴っている岩、渓流沿いの流水辺の岩などもあります。
土に比べて維管束植物との争いは減りますが、地衣類とよく陣取りになります。

腐木

蘚苔類のパラダイスになっていることが多いです。腐木はなぜか地衣類が少ないように思います。切り株も同様です。

根際

樹幹のコケよりも腐木のコケや岩のコケと共通の場合はよく見られます。
根際も腐木と同様に蘚苔類にとっては良好な生育環境のようです。

樹幹

根際より高い所に生えます。乾燥しますのでより過酷ですが、日当たりはいいです。地衣類も好みますので、争いが激しくなります。根際には生えないが、樹幹には生えるコケが結構あります。

土は維管束植物などとの競争が激しく、落ち葉に覆われてしまうこともよくあります。ですので、コケにとってはかなり過酷で、特殊な一部のコケだけが生きることができる場所です。攪乱頻度も高いので、ライフサイクルの短さも重要です。
地衣類でも、土に生えるものは少なめです。




特殊な基物

銅ゴケ

ホンモンジゴケが有名ですが、ケヘチマゴケも比較的よく見ます。
分布拡大の仕組みが気になります。胞子や無性芽などの繁殖子がまんべんなく散布されて、たまたま銅のある所にたどり着いたものが定着するのでしょう。銅のある場所は人為的な場所がほとんどなので、かなりの量の繁殖子が常に散布されているということになりますかね。

石灰岩性

蘚類の10分の1は石灰岩性蘚類だそうです。
蘚類については田中さんが整理して発表してくれました(こちら)。
石灰岩性の苔類や地衣類の状況はよくわかりません。気になります。

コンクリート面

コンクリート面は蘚苔類のパラダイスです。維管束植物や地衣類はあまり目立ちません。蘚苔類は地衣類よりもアルカリ性に強いのかもしれません。

アスファルト



目地



水中



流水辺




滴り岩

表面を水が常に流れている岩。
ツクシホウオウゴケ
ホウオウゴケ
ナガサキホウオウゴケ
ホソホウオウゴケ
ツガゴケ
苔類はかなりあります。

樹幹よりもさらに特殊です。日当たりを好み、乾燥に強いものだと思います。枝に特化した種と樹幹にも生える種があります。
サクラジマツヤゴケ







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2020年1月25日土曜日

ナワゴケ科

ナワゴケ科(2属5種) <種一覧へ> 


ナワゴケ科の特徴

・葉身細胞が厚壁
・蒴は直立
・仮根にパピラがある
・偽毛葉は小葉状
・南方系?

ミチノクイチイゴケのように、ツンツンしている感じ??


所属する属

オオキヌタゴケ属(3種)
・ヤクシマナワゴケ:大形。岩、樹上。
・オオキヌタゴケ:中形?。岩、樹上、腐木。
・カタナワゴケ:大形。岩、樹上。
カキネゴケ属(2種)
・カトウゴケ:小形。岩、樹上。
・キノクニキヌタゴケ:小形。樹上、岩。


関東地方にはキノクニキヌタゴケが神奈川に分布するのみです。




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ミズゴケ科

ミズゴケ科(1属7節40種) <種一覧へ> <マトリックス>


姿が独特なので、ミズゴケ科であることは目視で一目瞭然です。
滝田先生の「北海道におけるミズゴケの分布及びその変異について」
ミズゴケ科は野口図鑑に出ていないので、上記文献がとても役に立ちます。


ミズゴケ科の特徴


・葉は多細胞層
・北方系(北海道に多い)
・水湿地に多い


所属する節


◆ミズゴケ節:
◆キダチミズゴケ節:
◆キレハミズゴケ節:
◆ウロコミズゴケ節:
◆スギバミズゴケ節:
◆ハリミズゴケ節:
◆ユガミミズゴケ節:


識別ポイント





<マトリックス>


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ヤナギゴケ科

ヤナギゴケ科(10属39種) <種一覧へ> <マトリックス>


ヤナギゴケ科の特徴


ヤナギゴケ科には多数の種が所属しますが、ほとんど見ることがありません。山地で比較的見るのはミズシダゴケくらいでしょうか。
ヤナギゴケですら、かなり稀です。
ヤナギゴケ科はどこに生えているのでしょうか。北日本でしょうか。
千葉ではコガネハイゴケ、ミズシダゴケ、ヤナギゴケの3種のみ、神奈川ではそれにハヤマヤナギゴケとヒロハヤナギゴケが加わるだけです。


所属する属

◆シャグマゴケ属
◆ヒメヤナギゴケ属
◆ヤナギゴケ属
◆コガネハイゴケ属
◆クシノハゴケモドキ属
◆ヤナギゴケモドキ属
◆イトヤナギゴケ属
◆シメリゴケ属
◆ササバゴケ属
◆ヤリノホゴケ属




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2020年1月23日木曜日

ハイゴケ科

ハイゴケ科(21属72種) <種一覧へ>


①ハイゴケ類 ②キヌゴケ類 ③クシノハゴケ類 ④ラッコゴケ類 ⑤イチイゴケ類

ハイゴケ科の特徴


・這って枝分かれするタイプ
・中肋は2本~ない(例外はヒメコガネハイゴケのみ。1本のことがある。)
・葉身細胞は線形で平滑(パピラがあるものはとても少ない)。
・細胞壁は薄い(例外:ダチョウゴケやフトハイゴケなど)
・翼部はよく分化する(例外あり:フクロハイゴケ属など)
・茎に毛葉がない(例外なし。毛葉があるのはイワダレゴケ科など。)
・偽毛葉を持つものが多い。
・蒴は傾く(直立するのは②キヌゴケ類の3属9種のみ)
・蒴柄は平滑(例外はイボエクシノハゴケだけ)
・腐木や岩上の苔が多く、樹幹の苔は少ない。

注意すべき別科


サナダゴケ科:いっしょに考えた方がいい。


グループ区分


葉が著しく鎌形に曲がる → ①ハイゴケ類
樹幹に生え、蒴は直立  → ②キヌゴケ類
葉は全周に鋸歯があり、帽に毛 → ③クシノハゴケ類
大形で、葉先が波状に屈曲する → ④ラッコゴケ類
おもに葉先がまっすぐなもの(サナダゴケ科も含む) → ⑤イチイゴケ類



識別形質


◆茎表面の細胞が大形薄壁なのか、小形厚壁なのか
観察しにくい面もありますが、変異はほとんどないと考えられ、とても重要な形質だと思います。大多数が小形厚壁で、大形薄壁になるのは、ツヤイチイゴケ属の3種、フクロハイゴケ属の4種、ハイゴケ属のうちのエゾハイゴケなど6種の計13種だけです。
◆偽毛葉の有無と形状
◆パピラ(細胞、蒴柄)
ハイゴケ科でパピラを持つものは稀です。パピラをもつものは、ヒラツボゴケ属(2種)、タカサゴイチイゴケモドキ属(1種)、ヒメコガネハイゴケ属(1種)のみです。
蒴柄にパピラを持つものはイボエクシノハゴケのみです。
◆翼部
細胞の形、数、色、細胞壁のくびれ、お椀状に膨らむか、
◆鋸歯
大多数は上部に微歯~ほぼ全縁。全周にはっきりと鋸歯がある種群(クシノハゴケ属)は特徴的です。
◆蒴の向き
蒴が直立するのはわずかです。ホンダゴケ属(1種)、イヌサナダゴケ属(1種)、キヌゴケ属(7種)のみです。
◆葉形や葉先
葉形は披針形や卵形がほとんど。
葉先は鋭尖頭のものがほとんど。
葉先が鎌形に曲がるもの:ハイゴケ属のほとんど、ダチョウゴケ、フトハイゴケ、ナガバラッコゴケ・・
葉先が波状に屈曲するもの:ラッコゴケ属
◆葉や枝の配列、角度、密度
扁平に出る。ランダムに出る。
◆帽の毛
帽に毛があるのはクシノハゴケ属だけ。
◆葉の長さ
茎葉と枝葉の大きい方で計測。とりあえずの目安になる。




①ハイゴケ類(3属21種) <種一覧へ> <マトリックス>


葉先が著しく鎌形に曲がるものです。
マトリックスはキヌゴケ類やクシノハゴケ類といっしょに整理しました。

所属する属


◆ハイゴケ属19種:目視でもある程度はわかるかも。
◆ダチョウゴケ属1種:密に羽状分枝。茎葉に深い縦皺。葉身細胞は厚壁です。
◆フトハイゴケ属1種:葉全体が溝状になります。葉身細胞は著しく厚壁です。

鎌形が弱い種もあります。逆に、この中になくて、鎌形に曲がるハイゴケ科もあります。
別の科にも鎌形に曲がる種はあります(カギハイゴケなど)。

ヒメハイゴケが今ひとつしっくりしないです。

識別ポイント


◆サイズと立地、枝(葉を含む)の太さ
◆分枝:枝が多いか、少ないか。
◆茎の表皮細胞:特に重要だと思います。
◆葉の縦皺:フジハイゴケやダチョウゴケのポイント
◆蒴の縦皺:エゾハイゴケやミヤマチリメンゴケのポイント
◆翼部:うまく取れません。工夫が必要かも。
◆細胞や中肋や葉形はイマイチ当てにならないような。


(大型のハイゴケ類)
ハイゴケによく似るのは渓谷の岩場に生えるオオベニハイゴケと、石灰岩に生えるチチブハイゴケですかね。この2つとは生育環境でまず区別します。その次に似ているのはヒメハイゴケ?。ヒメハイゴケとは環境が大事ですかね。
ヒラハイゴケはかなり違います。今は別属のようです。目視でほぼ見分けられます。
エゾハイゴケは最近ヤナギゴケ科になっているようですが、フジハイゴケによく似ていますね。
オオハイゴケは実態不明です。とりあえず無視です。

(中型のハイゴケ類)
ヒメハイゴケの実体が今ひとつわかりません。
この群が、ハイゴケ属の中で特に難しいかもしれません。

(小型のハイゴケ類)
山地帯でよく見られるのは、イトハイゴケですかね。
亜高山帯ではキノウエノコハイゴケとミヤマチリメンゴケですかね。
イトハイゴケとミヤマチリメンゴケはよく似ていますね。
サイトウハイゴケはよくわかりません。






②キヌゴケ類(3属9種) <種一覧へ> <マトリックス>


樹幹に着生して、蒴が直立するものです。
マトリックスはハイゴケ類やクシノハゴケ類といっしょに整理しました。

所属する属


・キヌゴケ属7種
・ホンダゴケ属1種
・イヌサナダゴケ属1種


ハイゴケ科の中では、特殊な種群だと思います。
まとまりはありますが、分類がとっても難しいです。
よくわかりません。






③クシノハゴケ類(1属7種) <種一覧へ> <マトリックス>


全周に鋸歯があって、帽に毛があるものです。
マトリックスはハイゴケ類やキヌゴケ類といっしょに整理しました。


クシノハゴケ属7種からなります。
クシノハゴケ属以外ではミチノクイチイゴケとキャラハラッコゴケにも全周に鋸歯があります。
帽に毛があるハイゴケ科は、クシノハゴケ類以外ではないように思います。
蒴柄にパピラがあるハイゴケ科もイボエクシノハゴケ以外にないような気がします。
この仲間は非常に難解で、まともな文献がありません。
平凡社の図鑑には9種と書いてありますが、5種しか載っていません。野口図鑑に載っているのは4種(そのうち絵があるのは3種)だけです。
アマチュアにはお手上げに近いです。
オニクシノハゴケは、茨城、埼玉、神奈川のリストに出ており、とても気になります。








④ラッコゴケ類(1属7種 <種一覧へ> <マトリックス>


葉先がしわよるかくびれるものです。中肋は長めです。
ラッコゴケ属7種からなります。
比較的大形で、山地の岩上などに生えます。
以前はフサゴケ科に所属していました。イワダレゴケ科に近縁だと思います。
マトリックスはイワダレゴケ科といっしょに整理しました。








⑤イチイゴケ類 <マトリックス>


サナダゴケ科の全種(種一覧へ)と①~④以外のハイゴケ科(種一覧へ)です。
サナダゴケ科は2属10種、ハイゴケ科は12属32種からなります。
葉先は普通まっすぐですが、鎌形に曲がるものも少しあります。


所属する属


サナダゴケ科
◆サナダゴケ属8種:ハイゴケ科のイチイゴケ類とよく似ている。偽毛葉を欠く。
◆エゾノヒラツボゴケ属2種:仮根は葉腋につき、パピラがある。偽毛葉を欠く。

ハイゴケ科
◆ヒラツボゴケ属2種:紐状で独特の姿。細胞の上下にパピラ。ウスグロゴケ科のネジレイトゴケにそっくり。偽毛葉は小葉状。
◆タカサゴイチイゴケモドキ属1種:かなり変わっている。茎葉の先端は切形で、対になった大きな鋸歯がある。屋久島以南。渓流の岩上に生える。
◆シロイチイゴケ属3種:南方系?。偽毛葉はは糸状で、1細胞列
◆アカイチイゴケ属3種:無性芽を着ける。偽毛葉なし。
◆ツヤイチイゴケ属3種:茎の表皮大形薄壁。ミチノクイチイゴケは美しい。偽毛葉はコガネハイゴケモドキだけ小葉状で、それ以外は欠く。
◆キャラハゴケ属5種:主要な種群。偽毛葉は小葉状。
◆キャラハゴケモドキ属1種:偽毛葉は小葉状。葉身細胞は22~30μm。
◆エゾキヌタゴケ属3種:翼部が長い。コモチイトゴケみたいで岩に生える。偽毛葉を欠く?
◆ミヤマハイゴケ属1種:棒状で変わっている。わかりやすい。偽毛葉は糸状。
◆ヒメコガネハイゴケ属1種:微小。北海道のみ。偽毛葉は小葉状。
◆クサゴケ属1種:大形。普通種。わかりやすい。偽毛葉は披針形。
◆ウシオゴケ属4種:南方系?。偽毛葉は小葉状。
◆フクロハイゴケ属4種:細胞が幅広で変わっている。茎の表皮大形薄壁。偽毛葉は小葉状。


識別のポイント


◆葉の出方:葉が2列で扁平に出るか、全周に出るか
◆葉の茎に対する角度
◆葉先の湾曲:下向きに曲がるか
◆乾の時の巻縮の程度:ミヤマサナダゴケはかなり巻縮します。
◆無性芽の有無や形状
◆偽毛葉の有無や形状
◆葉身細胞のパピラ:ヒラツボゴケ属など一部。
◆葉身細胞の幅、細胞の形:ミヤマサナダゴケの重要ポイント
◆翼部
◆鋸歯や葉先
◆茎の表皮細胞
◆蒴の縦皺:ツヤイチイゴケ属の3種のみ
◆茎葉と枝葉の違い:大きさの違い、形の違い


 <マトリックス>


全く未完成です。随時更新していきます。すみません。
マトリックスは、ほかの科も含めて全部エクセルで作成しています。大したものではありませんが、ダウンロード、加工、転載、オールフリーです。グーグルドライブで公開しています(こちら)ので、もしよかったら御自由にお使いください。
エクセルのフィルター機能が便利です。消去法で種を絞れます。








2020年1月21日火曜日

スギゴケ科

スギゴケ科(5属30種) <種一覧へ> <マトリックス>


特徴的な姿をしており、スギゴケ科であることは目視ですぐわかります。
見た目では、葉が薄めのタチゴケ類と、葉が厚めのスギゴケ類に分かれます。
ナミガタタチゴケとコスギゴケとヒメスギゴケはかなり身近なコケです。


スギゴケ科の特徴


・立つコケ
・大形のコケが多い
・葉に薄板という特殊な構造を持つ
・蒴は直立~傾く
・帽は有毛で鐘状または無毛で僧帽状
高山帯に生育する種が多い。どちらかというと北方系の種群でしょうか。
石灰岩性蘚類はない
・基物は土が多く、岩も少しある
・葉肉部分にトゲ(タチゴケ類)
・無性芽の記述は見当たらず?
・蘚座ではなくて、マット。
・配偶体がほとんどないものがある。(ハミズゴケとヒメハミズゴケ)

構造が複雑で、かなり進化したコケだと思います。
仮根で水分を吸収して、茎や葉に供給しています。ただ、固着するための器官ではありません。
胞子は遠くに飛ばすためのものであり、マット状に群生しているのは、仮根から発芽しているのではないかと推測されます。掘って仮根を精査する必要があります。


属の特徴


①タチゴケ類:葉が薄い系
◆タチゴケ属(5):舷がある。帽は無毛で僧帽状。鋸歯は双生。葉身の葉肉部分にとげが点在。
◆タチゴケモドキ属(3):裏面にも薄板あり。鋸歯は単生。高山帯に分布。帽は無毛で僧帽状??

②ニワスギゴケ類:葉が硬めで巻縮系
◆フウリンゴケ属(1):蒴歯がない。帽は無毛で僧帽状。
◆ニワスギゴケ属(13):蒴歯が32本。蒴が円柱状。帽は有毛で鐘状。乾で巻縮が多い。

③スギゴケ類:葉が硬めで棒状系
◆スギゴケ属(8):蒴歯が64本蒴が角柱状。帽は有毛で鐘状。乾で棒状が多い。


それぞれの属は、まとまりがあって比較的わかりやすいです。
ニワスギゴケ属とスギゴケ属は、蒴がないと紛らわしいですが、乾の時の姿の違いは現地での識別に役立ちます。
グループ分けは便宜的です。


注意すべき他科


イクビゴケの葉は、タチゴケ類に似ています。


識別形質

◆薄板の端細胞の形やパピラの有無
とても重要な形質です。でも、いろいろな形状のものが混じっていることも多く、なかなか一筋縄ではいきません。
◆薄板の細胞数
傾向として使えると思います。
◆葉縁部・鋸歯
葉縁部が内曲しているものは、確認するのも大変です。コセイタカスギゴケホウライスギゴケの識別には葉鞘部の鋸歯が重要です。フウリンゴケの葉鞘部上部には長い多細胞毛があります。
◆乾の時の姿
とても重要な形質だと思います。


<マトリックス>


全く未完成です。随時更新していきます。すみません。
マトリックスは、ほかの科も含めて全部エクセルで作成しています。大したものではありませんが、ダウンロード、加工、転載、オールフリーです。グーグルドライブで公開しています(こちら)ので、もしよかったら御自由にお使いください。
エクセルのフィルター機能が便利です。消去法で種を絞れます。

(イメージです。最新はリンク先です。)



似た種の見分け方


コスギゴケとヒメスギゴケ
よく似ていて難しいですが、葉を上から見た時の薄板の端細胞の形が違います。コスギゴケは横長の楕円ですが、ヒメスギゴケはほぼ円形です。切片を作らなくてもわかります。逆に切片で横から見る方が難しいかも。
乾の時の縮れ具合も当てになると思います。湿の状態のものを目視で見分けるのは無理だろうと推測しています。

ウマスギゴケとオオスギゴケ
非常によく似ています。ウマスギゴケは明るい湿地とかに生え、オオスギゴケは林内に生えるイメージですが、よくわかりません。薄板の端細胞の形が大きく違います。目視だけでは種の断定はできないだろうと感じでいます。

◆チャボスギゴケとシンモエスギゴケ
薄板の端細胞が違いますが、葉形も違います。でもまだ、チャボを認識できていません。

ナミガタタチゴケヒメタチゴケ
ナミガタタチゴケが雌雄同株で、ヒメタチゴケが雌雄異株なので、雄花盤をつけていればヒメタチゴケと断定できます。それ以外は、ナミガタタチゴケの方が若干大きめ(細胞も含めて)というくらいで、明白な違いは見当たりません。小さいナミガタタチゴケも当然ありますので、アマチュア的には雄花盤があって明白なヒメタチゴケ以外はとりあえず全部ナミガタタチゴケにしておけばいいかなと思っています。同様の関係はコツボゴケとツボゴケについてもあります。


個人的な課題


・ヒメタチゴケとナミガタタチゴケの実態
・ムツタチゴケとナミガタチゴケの実態
・ヤクシマタチゴケと小さいヒメタチゴケやナミガタタチゴケは見分けられるのか
・チャボスギゴケの実態



キヌゴケなど

③キヌゴケなどのマトリックス(34種) (ハイゴケ科)

①イチイゴケなどはこちら、②ハイゴケなどはこちらです。

蒴が直立し、樹幹に生える種類と、クシノハゴケ属、ラッコゴケ属です。










イチイゴケなど

①イチイゴケなどのマトリックス(17種) (ハイゴケ科)

②ハイゴケなどはこちら、③キヌゴケなどはこちらです。

茎の表皮細胞は重要な形質です。ツヤイチイゴケ属の全種とフクロハイゴケ属の全種が大形薄壁細胞で、残りは全部小形厚壁細胞です。
細胞にパピラがある種群(ヒラツボゴケ属、タカサゴイチイゴケモドキ属、ヒメコガネハイゴケ属の3属)も特徴的です。










2020年1月19日日曜日

チョウチンゴケ科②匍匐茎あり

チョウチンゴケ科②匍匐茎あり(12種) (チョウチンゴケ科)

①直立茎のみはこちら

ツルチョウチンゴケ属(10種)
タチチョウチンゴケ属(2種)

コツボゴケ、ツルチョウチンゴケ、オオバチョウチンゴケの3種は比較的よく見られます。
チョウチンゴケ科で葉に横皺が出るのは、ツルチョウチンゴケ、ナミガタチョウチンゴケ、ムツデチョウチンゴケの3種のみです。